飛鳥という地

せめて一日だけ、現代から離れた場所に行きたいと思った。小学校の教科書で習った記憶。敢えて悠長な各駅停車に乗り、ただ朧げに揺られる。子供は車窓から霞む平野を眺め、いつのまにか微睡む。全く時間というものを忘れ、無限で悠久な日の明かりがあるのみである。知らぬ土地の時の流れに身を委ねることが、旅の1つの醍醐味である。