さくら時間

マイナスイオンを感じる生き生きとした香り、人間を深い懐で包み込む自然の静けさ、背の高い木々が頭上でひしめきあいながらも万華鏡のように光を通す自然の薄暗さ、葉が擦れ、鳥の鳴く音

そんなふとした五感以上の感覚が昔の記憶を呼び出す

オーストラリアのヌーサで友達ともうすぐ日が暮れてしまうと慌てて手を握った広い自然公園で崖から見た夕焼けに照らされた広大な無人の海、そしてその後に見た大きなまんまるい月、叫び

祖父と動物公園の隠れ家で食べたコンビニで買った蕎麦、大きなものに包まれる、論理なんてちっぽけに思わせてくれる時間

時の流れを告げるのは、ただ桜の花びらだけだということを感じさせてくれた、寺の片隅にて